更年期とは


日本の女性の平均寿命は87歳と男性より6歳長い。その分女性は楽しく過ごしているかというとそうとも言えません

老人介護施設に行くと8割は女性です。街を歩いていると足腰、背中や膝がまがって不自由な生活を余儀なくさせられている人が多いと感じます。男性にはそのような曲がった腰などになった人は女性ほど多くはありません。どうしてでしょうか?ただ年のためでしょうか?

女性の体は思春期から始まるホルモンの嵐の中で生きています。月々の中でも体の中は卵胞ホルモンや黄体ホルモンなどまた妊娠時には大量のホルモンが吹き荒れています。50歳前後を迎える頃女性は更年期と言われる時期となりホルモンの急激な減少に見舞われます。子供を産んで生物学的な役目を終えた女性には過酷な状況が待っています。皮膚はツヤを失いくすんできてどんなに化粧をしても若い時の皮膚が鏡の前に現れる事はありません。高齢になり骨が曲がってくるのは更年期に原因があります。男性にはそういう節目がありません。ホルモン減少が急激な骨量の低下を起こしホルモンによって守られていた骨も骨量が減りもろくなって、たやすく崩れてしまうのです。皮膚や骨ばかりでなく血管系の病気も更年期を境として現れてきます。直ぐには目に見えないのですが女性ホルモンによって守られていた動脈の壁が荒れてきます。狭心症、脳動脈硬化を始めとする血管の疾患になっていきます。心臓病は男性より重篤になります。

これをできるだけならないように防ぐ方法があるのです。なぜこのことが一般化しないのでしょうか? 一時ホルモン補充療法が癌を発生させるというテレビ番組がありました。そのためにやめてしまった患者さんもいました。しかし長い間の経験でホルモン補充療法とがんの発生には関係はないと言う結論が今では得られています。ホルモン補充療法には卵胞ホルモンと黄体ホルモンの錠剤を使います。閉経前後から使いますので検査をしてみてどのようにするか決めます。閉経後1年たっても使うことができるとされています。若く美しくいられる事は可能なのです。

先進国の欧米ではホルモン補充療法は特別な治療としてではなく広く受け入れられています。隣のおばさんも隣のおばさんもしているのです。なぜ日本はホルモン補充療法が浸透しないのでしょうか?それは女性の社会進出と大きく関係があります。

例えばフランスにおいては家を訪ねていっても家の主婦に日中会えることはできません。働くことが当たり前の社会でさらに働くことが自己実現の場と考えているだからです。日本は先進国といえども、男性中心の社会であり続けています。男性中心の社会では成果主義がまかり通り現実的な選択をするより、目立つことをすることの方が優れていると考えられています。それはさておき

元気でハツラツとして日々を過ごせることが重要です。

当クリニックでは男性医師がやりたがらないまた興味のない治療、ホルモン補充療法をしています。典型的な治療は2種類の内服薬を定期的に飲むだけです。人間は自然に逆らって生きていく事はありませんがそこに少しの介入をしてより良い人生を送れるようにしてみようではありませんか。